グラバー園

グラバー園の旧グラバー住宅
グラバー園
グラバー園の旧グラバー住宅
花にかこまれた世界遺産の旧グラバー住宅
写真: Chris 73 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

長崎港を見下ろす南山手の丘に、明治時代の洋館が建ち並び、季節の花がいっぱいに咲く――。長崎県長崎市の「グラバー園」は、世界遺産の「旧グラバー住宅」をはじめ、9棟の洋館を見学できる、長崎を代表する観光スポットです。

幕末に開港した長崎には、外国の商人たちが住む「居留地」がつくられました。グラバー園は、その居留地の時代の洋館や、長崎市内にあった明治時代の洋館を集めた場所で、異国情緒あふれる長崎らしい雰囲気を味わえます。

丘の上から見わたす長崎港の景色、洋館のベランダ、色とりどりの花、そして夜のライトアップ。となりには国宝の大浦天主堂もあり、南山手の坂道散歩も楽しめます。

この記事では、グラバー園の基本情報と歴史、旧グラバー住宅などの洋館の見どころ、夜間開園とランタンナイト、グラバースカイロード、大浦天主堂やオランダ坂など周辺スポット、長崎グルメ、アクセス、モデルコースまで、はじめての人にもわかりやすく紹介します。

グラバー園の基本情報

まずは基本の情報を表にまとめました。開園時間や料金は時期によって変わることがあるので、お出かけ前に公式サイトで確認してください。

名称グラバー園
所在地長崎県長崎市南山手町8-1
世界遺産旧グラバー住宅(明治日本の産業革命遺産、2015年登録)
開園時間8:00〜18:00(最終入園は閉園の20分前)※夜間開園の時期あり
休園日年中無休
入園料一般1,300円/こども(小・中学生、高校生)650円(2026年4月改定)
駐車場専用駐車場なし(近くの駐車場を利用)
公式サイトグラバー園

入園料は2026年4月1日から改定され、一般1,300円になりました。団体割引料金は廃止されています。園の上にある第2ゲートではカードが使えないので、現金を用意しておくと安心です。

グラバー園の歴史

1858年、江戸幕府はアメリカやイギリスなど5か国と修好通商条約を結び、長崎は貿易のための港として開かれました。南山手や東山手の丘には、外国の商人たちが住む居留地がつくられ、洋館が建てられていきました。

1863年、スコットランド出身の商人トーマス・ブレーク・グラバーの住まいとして、南山手の丘にグラバー邸が建てられました。1957年に三菱長崎造船所から長崎市に寄贈され、翌年から一般公開されています。

1974年、長崎市内にあった明治時代の洋館を移築・復元して、「グラバー園」として開園しました。2015年には、旧グラバー住宅が「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産に登録されました。

旧グラバー住宅

旧グラバー住宅の外観
瓦屋根とベランダが特ちょうの旧グラバー住宅
写真: Jakub Hałun / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

グラバー園の中心となるのが「旧グラバー住宅」です。1863年に建てられた、現存する日本最古の木造洋風建築で、国の重要文化財に指定され、世界遺産にもなっています。

建物は、増築や模様替えをくり返して、明治時代の中ごろには四つ葉のクローバーのような形になったといわれています。日本の瓦屋根と、西洋風の広いベランダが組み合わさった、和洋折衷のつくりも見どころです。

旧グラバー住宅の室内
当時の家具が並ぶ旧グラバー住宅の部屋
写真: Masoud Akbari / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

建物の中では、当時の暮らしを伝える家具や調度品を見ることができます。ベランダからは長崎港を見わたすことができ、グラバーがこの場所から港を行き来する船をながめていた様子が想像できます。

トーマス・グラバーってどんな人?

トーマス・ブレーク・グラバーは、1859年に長崎にやって来たスコットランド出身の商人です。お茶や船などの貿易で活躍し、日本の近代化に深くかかわりました。

炭鉱の開発や、造船、日本の若者たちのイギリス留学を手助けしたことでも知られています。また、キリンビールの前身となる会社の設立にもかかわったといわれ、キリンビールのラベルにえがかれた「麒麟」のひげは、グラバーのひげがモデルになったという話も伝えられています。

旧リンガー住宅と旧オルト住宅

旧リンガー住宅
石のかべと木のベランダの旧リンガー住宅
写真: Fg2 / Public domain

旧グラバー住宅とならんで、居留地時代に建てられた国の重要文化財が「旧リンガー住宅」と「旧オルト住宅」です。

旧リンガー住宅は、石造りのかべと木造のベランダを組み合わせた建物です。前庭からは港を行き来する船を間近に見ることができ、船の音が聞こえてくることもあります。

旧オルト住宅
石の柱が並ぶ旧オルト住宅
写真: Chris 73 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

旧オルト住宅は、石の柱が並ぶ堂々とした洋館です。ただし、保存修理工事のため、2027年3月ごろまで観覧が停止される予定です(外からながめることはできます)。工事の状況は公式サイトで確認しましょう。

旧ウォーカー住宅と移築された洋館

旧ウォーカー住宅
小さくかわいらしい旧ウォーカー住宅
写真: Fg2 / Public domain

グラバー園には、長崎市内の別の場所から移築・復元された洋館が6棟あります。そのひとつ「旧ウォーカー住宅」は、日本の船会社などで活躍したイギリス人ウォーカーの家族が住んだ建物で、小さくてかわいらしいつくりです。

ほかにも、旧スチイル記念学校、旧長崎地方裁判所長官舎、旧長崎高商表門衛所、旧自由亭などがあります。旧自由亭は、しばらくの間、観覧停止・営業中止となっているので注意しましょう。

旧三菱第2ドックハウスと長崎港の眺め

旧三菱第2ドックハウス
園内でいちばん高い場所に建つ旧三菱第2ドックハウス
写真: Chris 73 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

園内でいちばん高い場所に建つのが「旧三菱第2ドックハウス」です。造船所のドック(船を修理する場所)に入った船の乗組員が、宿泊するために使った建物です。

2階のベランダからは、長崎港と稲佐山を一望できます。園内でもとくに眺めがいい場所なので、ぜひベランダに出てみましょう。無料の園内ツアーの受付も、この建物の1階にあります。

グラバー園から見た長崎港
丘の上から見下ろす長崎港
写真: Immanuelle / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

グラバー園の丘からは、港を行き交う大きな船もよく見えます。長崎が昔から港町として栄えてきたことを実感できる景色です。

季節の花とハートストーン

グラバー園の花
季節の花がさくグラバー園の庭
写真: Fg2 / Public domain

グラバー園は、一年中たくさんの花が咲く庭園でもあります。春は小さな花のアマナ(ハナニラ)や、旧グラバー住宅のポーチをいろどるモッコウバラ、そのほか季節ごとに色とりどりの花が園内をかざります。

また、園内の石だたみには、ハートの形をした石がかくれているといわれていて、「見つけると幸せになれる」と人気です。散策しながら足もとを探してみましょう。

夜間開園とランタンナイト

グラバー園から見た夜景
グラバー園から見た長崎の夜景
写真: Photos of Japan / Wikimedia Commons(CC0)

グラバー園では、時期によって夜間開園が行われています。ライトアップされた洋館と、長崎の夜景をいっしょに楽しめるのが魅力です。

2026年10月12日から12月31日までは「グラバー園ランタンナイト2026」が開かれ、約300個のランタンとイルミネーションが園内をいろどります。この期間の開園時間は8:00〜20:00(最終入園19:40)で、10月の一部の金曜・土曜日は21:30まで開園します。日程は変わることがあるので、公式サイトで確認しましょう。

無料の園内ツアー

グラバー園では、歴史観光ガイドが案内してくれる無料の園内ツアーがあります。毎日11:00、13:00、15:00の3回で、所要時間は約60分です。

予約は不要で、当日、旧三菱第2ドックハウス1階のガイド所にある受付簿に名前を書いて、開始時間までに集まります。天気などで急に中止になることもあるので、当日に確認しましょう。説明を聞きながら回ると、洋館の歴史がよりよくわかります。

グラバースカイロードで坂をらくらく

グラバースカイロード
ななめに動く無料のエレベーター・グラバースカイロード
写真: Twilight2640 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

長崎は坂の多い町ですが、グラバー園へは「グラバースカイロード」を使うと楽に行けます。ななめに動くエレベーターで、利用は無料です。

路面電車の「石橋」電停から歩いて約3分の乗り場から乗り、さらに垂直のエレベーターに乗りつぐと、園内のいちばん上にある第2ゲートの近くに出ます。上から下りながら園内を回れるので、坂道が苦手な人にもおすすめです。運転時間は6:00〜23:30です。

大浦天主堂

大浦天主堂
国宝の大浦天主堂
写真: Houjyou-Minori / Wikimedia Commons(CC0)

グラバー園のすぐとなりにある「大浦天主堂」は、1864年に建てられた、現存する日本最古の教会のひとつです。国宝に指定され、世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産にもなっています。

白い外観と、美しいステンドグラスが印象的な教会です。グラバー園から歩いて約5分なので、あわせて訪れるのがおすすめです。見学には拝観料がかかります。

オランダ坂と南山手・東山手の町並み

オランダ坂
石だたみの坂道・オランダ坂
写真: Houjyou-Minori / Wikimedia Commons(CC0)

グラバー園から少し歩いた東山手には、石だたみの「オランダ坂」があります。居留地の時代、外国人のことを「オランダさん」とよんだことから、この名前がついたといわれています。

坂道のまわりには、洋館や古い石塀が残り、異国情緒あふれる町並みを楽しめます。グラバー園の出口からつづく「グラバー通り」には、カステラやガラス細工のおみやげ屋さんが並んでいます。

あわせて行きたい長崎の観光スポット

グラバー園のある南山手から路面電車に乗れば、長崎のおもな観光スポットに手軽に行くことができます。江戸時代に唯一西洋との窓口だった「出島」では、復元されたオランダ商館の建物を見学できます。日本三大中華街のひとつ「長崎新地中華街」では、角煮まんじゅうやちゃんぽんの食べ歩きが楽しめます。

中島川にかかる石造りのアーチ橋「眼鏡橋」は、川面にうつる姿がめがねのように見えることから名づけられました。北の浦上地区には、平和への祈りをこめた「平和公園」や「長崎原爆資料館」があります。

夜は、ロープウェイで「稲佐山」の展望台にのぼり、港をかこむように広がる長崎の夜景を楽しむのがおすすめです。時間に余裕があれば、世界遺産の「軍艦島(端島)」へ上陸するクルーズツアーに参加するのもいいですね。

長崎グルメとおみやげ

長崎ちゃんぽん
野菜たっぷりの長崎ちゃんぽん
写真: ノボホショコロトソ / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

長崎に来たら、ぜひ食べたいのが「ちゃんぽん」です。豚骨と鶏がらのスープに、太めの麺と、たっぷりの野菜や海鮮が入った、ボリュームのある一杯です。パリパリの細麺にあんをかけた「皿うどん」も人気です。

長崎カステラ
しっとりとした長崎のカステラ
写真: katorisi / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

おみやげの定番は「カステラ」。しっとりとした生地と、底のザラメのしゃりしゃりした食感が特ちょうです。ほかにも、角煮まんじゅうや、ピラフ・スパゲッティ・とんかつを一皿にのせた「トルコライス」など、長崎ならではの味がいろいろあります。

季節ごとの楽しみ方

春はアマナやモッコウバラなどの花がさき、園内がいちばん華やかになる季節です。夏は夜間開園で、すずしくなった夜の洋館と夜景を楽しめます。秋から冬はランタンナイトのあかりが、園内をあたたかく照らします。

長崎は坂が多く、グラバー園の中も石だたみの坂道や階段がつづきます。歩きやすいくつで出かけましょう。夏は日ざしが強いので、ぼうしと水分補給もわすれずに。

グラバー園へのアクセス

路面電車で長崎駅前から崇福寺行で約7分、新地中華街で石橋行に乗りかえて約4分、「大浦天主堂」電停から徒歩約7分
バスで長崎駅前南口から30番・35番のバスで約12分、「グラバー園」バス停から徒歩約5分
グラバースカイロード「石橋」電停から徒歩約3分の乗り場から第2ゲートへ(無料)
車で専用駐車場はないので、近くの駐車場を利用

長崎駅からは路面電車が便利です。坂道を少なくしたい人は、「石橋」電停で降りて、グラバースカイロードで第2ゲートまで上がりましょう。所要時間は目安なので、最新の情報を確認してください。

おすすめモデルコース

9:00路面電車で「石橋」電停へ
9:15グラバースカイロードで第2ゲートへ
9:30旧三菱第2ドックハウスのベランダで長崎港をながめる
10:00旧グラバー住宅・旧リンガー住宅など洋館めぐり(11:00の園内ツアーもおすすめ)
11:30大浦天主堂を見学
12:30ちゃんぽんでランチ
13:30オランダ坂を散歩
14:30グラバー通りでカステラのおみやげ探し

秋から冬に行くなら、いったんホテルにもどって、夜のランタンナイトに出かけるのもおすすめです。夜は稲佐山の展望台から「世界新三大夜景」に選ばれた長崎の夜景を見るのもいいですね。

グラバー園を楽しむためのポイント

  • ① 第2ゲートではカードが使えないので、現金を用意しよう。
  • ② 坂が苦手な人は、グラバースカイロードで上から入るのがおすすめ。
  • ③ 旧オルト住宅・旧自由亭は、しばらく観覧停止。最新情報を公式サイトで確認しよう。
  • ④ 無料の園内ツアーは予約不要。11時・13時・15時に参加できる。
  • ⑤ ほかの人のめいわくになる撮影や、ドローンでの撮影は禁止。

よくある質問

グラバー園の入園料はいくらですか?

一般1,300円、こども(小・中学生、高校生)650円です。2026年4月1日に改定されました。

グラバー園の開園時間は?

通常は8:00〜18:00です。2026年10月12日〜12月31日は夜間開園で20:00まで(10月の一部の日は21:30まで)開いています。最終入園は閉園の20分前です。

夜のグラバー園は楽しめますか?

はい。夜間開園の期間は、ライトアップされた洋館と長崎の夜景を楽しめます。秋冬は「ランタンナイト」が開かれます。

駐車場はありますか?

グラバー園には専用の駐車場はありません。路面電車やバスで行くか、近くの駐車場を利用しましょう。

坂が苦手でも回れますか?

無料のグラバースカイロードで園の上にある第2ゲートまで上がり、下りながら回ると、上り坂が少なくてすみます。

見学にはどのくらい時間がかかりますか?

グラバー園だけなら1〜2時間ほどが目安です。大浦天主堂やオランダ坂もあわせて歩くなら、半日ほどみておくと安心です。

まとめ

グラバー園は、世界遺産の旧グラバー住宅をはじめとする洋館と、長崎港の美しい眺めを楽しめる、長崎らしさがつまった場所です。季節の花、夜のライトアップやランタン、となりの大浦天主堂、オランダ坂の石だたみまで、異国情緒あふれる長崎の魅力をたっぷり味わえます。

坂道にそなえて歩きやすいくつで、ゆっくり時間をかけて、幕末から明治の長崎の歴史を感じてみてください。

参考情報

※この記事の情報は執筆時点のものです。開園時間、料金などは変わることがありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。

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