伊勢神宮 観光ガイド|内宮・外宮と式年遷宮を知って歩く

五十鈴川にかかる伊勢神宮内宮の宇治橋(三重県伊勢市)
伊勢神宮 観光ガイド|内宮・外宮と式年遷宮を知って歩く
五十鈴川にかかる伊勢神宮内宮の宇治橋(三重県伊勢市)
内宮の入口・宇治橋。ここから先が神さまの住まう神域
写真: Zairon / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

「伊勢へ行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」――。江戸時代、人々がこう歌うほど憧れたのが「お伊勢参り」です。三重県伊勢市にある伊勢神宮は、いまも年間700万人を超える人々が訪れる、日本人の「こころのふるさと」ともいわれる神社です。

伊勢神宮は、正式にはただ「神宮」といいます。天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつる皇大神宮(内宮)と、豊受大御神(とようけのおおみかみ)をまつる豊受大神宮(外宮)を中心に、別宮・摂社・末社・所管社を合わせた125の宮社の総称です。玉砂利を踏みしめて深い森の中の参道を歩くと、2000年の歴史が育んできた清らかな空気に、自然と背筋が伸びるのを感じるはずです。

この記事では、伊勢神宮の基本や歴史、外宮と内宮それぞれの見どころ、20年に一度の式年遷宮、参拝の作法とマナー、おはらい町・おかげ横丁のグルメ、アクセスとモデルコースまで、お伊勢参りに役立つ情報をまとめて紹介します。

伊勢神宮の基本情報

まずは基本情報を表にまとめました。参拝時間などは変更される場合があるため、出発前に公式サイトで最新情報を確認してください。

名称神宮(伊勢神宮)
構成内宮・外宮を中心に、別宮14所・摂社43所・末社24所・所管社42所の計125社
所在地(内宮)三重県伊勢市宇治館町1
所在地(外宮)三重県伊勢市豊川町279
参拝時間1〜4月・9月:5:00〜18:00/5〜8月:5:00〜19:00/10〜12月:5:00〜17:00(正月は変更あり)
参拝料無料
参拝者数内宮・外宮あわせて年間700万人以上
アクセス(外宮)JR・近鉄「伊勢市駅」から徒歩約5分
アクセス(内宮)外宮からバスで約15分

伊勢神宮とは:125の宮社からなる「神宮」

伊勢神宮の素木の鳥居
伊勢神宮の鳥居は朱塗りではなく、素木(しらき)のまま
写真: Zairon / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

内宮:天照大御神をまつる皇大神宮

内宮(ないくう)の正式名称は皇大神宮(こうたいじんぐう)。皇室の御祖先であり、日本人の総氏神とも仰がれる天照大御神をおまつりしています。およそ2000年前、垂仁天皇の時代から五十鈴川のほとりに鎮座していると伝えられています。

外宮:豊受大御神をまつる豊受大神宮

外宮(げくう)の正式名称は豊受大神宮(とようけだいじんぐう)。伊勢市の中心部、高倉山を背にして鎮座し、天照大御神のお食事をつかさどる「御饌都神(みけつかみ)」として、衣食住や産業の守り神である豊受大御神をおまつりしています。

「お伊勢参りは外宮から」

伊勢神宮には、まず外宮に参拝し、そのあとに内宮へ参拝するのが古くからのならわしとされています。外宮と内宮は約5km離れているので、バスやタクシーを使って移動しましょう。時間に余裕があれば、それぞれの別宮もあわせて参拝すると、より深くお伊勢参りを味わえます。

外宮の見どころ

外宮の正宮
伊勢参りは外宮から。豊受大御神をまつる外宮の正宮
写真: Sakaori / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

伊勢市駅から歩いてすぐの外宮は、お伊勢参りの最初の目的地です。鳥居をくぐり、玉砂利の参道を進むと、緑に包まれた清々しい空気に満たされます。なお、外宮の参道は左側通行です。

正宮と別宮

外宮の中心が正宮(しょうぐう)です。正宮のほかに、外宮の域内には多賀宮(たかのみや)、土宮(つちのみや)、風宮(かぜのみや)の3つの別宮があります。多賀宮は豊受大御神の荒御魂(あらみたま)をまつる宮で、小高い丘の上にあり、石段を登ってお参りします。

外宮の神楽殿
緑に囲まれた外宮の神楽殿
写真: Daderot / Wikimedia Commons(CC0)

せんぐう館

外宮の勾玉池のほとりに建つせんぐう館
式年遷宮について学べる博物館「せんぐう館」
写真: Miyuki Meinaka / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

外宮の勾玉池(まがたまいけ)のほとりにある「せんぐう館」は、20年に一度の式年遷宮について学べる博物館です。外宮正殿の原寸大模型や、式年遷宮で新調される御装束神宝の調製工程品などが展示されていて、ふだんは見ることのできない神宮の奥深い世界にふれられます。

月夜見宮

外宮の別宮・月夜見宮
外宮から歩いて行ける別宮・月夜見宮
写真: Yanajin33 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

外宮の北御門から歩いて行ける別宮・月夜見宮(つきよみのみや)は、静かな住宅街の中にたたずむ趣のあるお宮です。外宮参拝のあとに足をのばしてみてください。

内宮の見どころ

宇治橋と五十鈴川

宇治橋と両端に立つ大鳥居
宇治橋の両端には大きな鳥居が立つ
写真: N yotarou / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

内宮の入口にかかるのが、五十鈴川(いすずがわ)を渡る宇治橋(うじばし)です。日常の世界から神さまの世界へとつながる架け橋といわれ、橋の両端には大きな鳥居が立っています。宇治橋を渡ると、そこから先は神域。内宮の参道は右側通行です。

宇治橋から眺める五十鈴川の清流
宇治橋から見下ろす五十鈴川。参道の途中には川で手を清める御手洗場がある
写真: Alpsdake / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

参道の途中には、五十鈴川の清流で手を清めることのできる「御手洗場(みたらし)」があります。澄んだ川の水にふれると、心まで洗われるような気持ちになります。

正宮:天照大御神のお宮

内宮の正宮は、深い森に囲まれた石段の上にあります。神宮の社殿は「神明造(しんめいづくり)」という日本古来の建築様式で、萱葺きの屋根と素木(しらき)の柱が特徴。装飾をそぎ落とした簡素で直線的な美しさは、ほかの神社とは違う厳かな雰囲気を感じさせます。正宮の石段から先は撮影禁止なので、心静かにお参りしましょう。

荒祭宮と神楽殿

内宮の別宮・荒祭宮
天照大御神の荒御魂をまつる別宮・荒祭宮
写真: そらみみ / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

内宮の域内には、荒祭宮(あらまつりのみや)と風日祈宮(かざひのみのみや)の2つの別宮があります。荒祭宮は天照大御神の荒御魂をまつる、内宮の別宮の中でも特に格式の高いお宮です。正宮の参拝のあとに、ぜひお参りしてください。

内宮の神楽殿
ご祈祷や、お神札・お守りの授与を行う内宮の神楽殿
写真: そらみみ / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

神楽殿(かぐらでん)では、ご祈祷の受付や、お神札・お守りの授与、御朱印の受付などを行っています。

20年に一度の「式年遷宮」

式年遷宮の際に並んだ新旧の荒祭宮
2013年の式年遷宮の際、新旧の社殿が並んだ荒祭宮。20年ごとにこの光景が生まれる
写真: Ocdp / Wikimedia Commons(CC0)

伊勢神宮を語るうえで欠かせないのが、20年に一度行われる「式年遷宮(しきねんせんぐう)」です。内宮にも外宮にも東西に同じ広さの敷地があり、20年ごとに社殿や御装束・神宝をすべて新しくして、神さまに新しいお宮へお遷りいただきます。新調される御装束神宝は714種1576点にもおよびます。

式年遷宮は、第40代天武天皇の発案により、次の持統天皇の時代、690年に第1回が行われたと伝えられています。それから約1300年にわたって受け継がれ、2013年には第62回を数えました。あえて建て替え続けることで、日本古来の建築様式と、それを支える匠の技を次の世代へとつないできたのです。「最も古く、最も新しい」――それが伊勢神宮のすがたです。

現在は、2033年(令和15年)に予定されている第63回式年遷宮に向けて、2025年から関連のお祭りや行事が始まっています。2029年(令和11年)秋には、内宮の宇治橋の架け替えにともなう渡始式も予定されています。お祭りの一部は参道から奉拝できるものもあり、この時期ならではの伊勢神宮に出会えます。

もっと深く:域外の別宮と神宮の博物館

外宮と内宮の参拝を終えたら、さらに一歩踏み込んだお伊勢参りを楽しんでみませんか。

域外の別宮

神宮には、内宮・外宮の神域の外に鎮座する別宮が5つあります。伊勢市内には、外宮近くの月夜見宮のほか、天照大御神の弟神をまつる月読宮(つきよみのみや)、内宮を現在の地に定めたと伝わる倭姫命(やまとひめのみこと)をまつる倭姫宮(やまとひめのみや)があります。伊勢市の外には、深い森に包まれた瀧原宮(たきはらのみや)と、志摩市の伊雑宮(いざわのみや)があり、いずれも観光客が比較的少なく、静かにお参りできます。

神宮の博物館

倭姫宮の近くには、神宮の歴史や祭りに関する品々を展示する神宮徴古館(ちょうこかん)や、神宮の農業や自然を紹介する農業館、美術品を収める神宮美術館があります。外宮のせんぐう館とあわせて訪れれば、神宮の世界をより立体的に理解できます。

年間1500回に上るお祭り

神宮では、年間1500回にもおよぶお祭りが行われています。なかでも毎年10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)は、その年の初穂を天照大御神にお供えする、神宮で最も重要なお祭りのひとつです。祭典の日程は公式サイトの祭典カレンダーで確認できます。

参拝の作法とマナー

伊勢神宮では、心を落ち着けて、感謝の気持ちを込めてお参りしましょう。基本の作法を紹介します。

手水の作法

  • ① 右手で柄杓を持って水をくみ、左手を清める
  • ② 柄杓を左手に持ち替えて、右手を清める
  • ③ 再び右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口をすすぐ(柄杓に直接口をつけない)
  • ④ もう一度左手を清める
  • ⑤ 残った水で柄杓の柄を洗い、元に戻す

参拝の作法(二拝二拍手一拝)

  • ① 神前に進み、姿勢を正す
  • ② 腰を90度に折り、2回深くお辞儀をする
  • ③ 胸の高さで両手を合わせ、右手の指先を少し下にずらす
  • ④ 肩幅程度に両手を開き、2回拍手を打つ
  • ⑤ 指先を元に戻し、最後にもう1回深くお辞儀をする

参拝者へのお願い

  • 外宮は左側通行、内宮は右側通行
  • 神域内は禁煙(喫煙所を利用)
  • 神域内での飲食は控える(水分補給は休憩所で)
  • ペットを連れての参拝はできない(入口で預かり)

おはらい町・おかげ横丁と周辺スポット

おはらい町とおかげ横丁

内宮前のおはらい町通り
内宮の門前に続くおはらい町。伝統的な町並みに老舗が並ぶ
写真: そらみみ / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

内宮の宇治橋前から五十鈴川沿いに続く「おはらい町」は、伊勢路の伝統的な町並みに、老舗の和菓子店や食事処、土産物店が軒を連ねる門前町です。その中ほどにある「おかげ横丁」は、江戸から明治にかけての伊勢の町並みを再現したエリアで、食べ歩きやお土産探しが楽しめます。

おかげ横丁の町並み
江戸から明治の町並みを再現したおかげ横丁
写真: Kanchi1979 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

伊勢のグルメ

伊勢名物の赤福餅
伊勢名物・赤福餅。参拝のあとのひと休みに
写真: Fred Cherrygarden / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

お伊勢参りの楽しみといえば、門前のグルメ。1707年創業の老舗が作る「赤福餅」は、伊勢を代表する名物です。こしあんで包まれたやわらかなお餅は、参拝のあとのひと休みにぴったりです。

伊勢うどん
太くやわらかい麺に濃いたれをからめて食べる伊勢うどん
写真: Asturio Cantabrio / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

もうひとつの名物が「伊勢うどん」。極太でふわふわにやわらかい麺に、たまり醤油ベースの濃い色のたれをからめて食べる、ほかにはないうどんです。そのほかにも、手こね寿司や、伊勢志摩の海の幸など、おいしいものがたくさんあります。

二見浦の夫婦岩

二見浦の夫婦岩
伊勢参りの前に立ち寄る人も多い二見浦の夫婦岩
写真: Douglas Perkins / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

伊勢市の二見浦(ふたみうら)にある夫婦岩は、しめ縄で結ばれた大小2つの岩が海に並ぶ景勝地です。かつては、お伊勢参りの前に二見浦で心身を清める習わしがあったと伝えられています。夏至の前後には、夫婦岩の間から朝日が昇る光景が見られることでも知られています。

おすすめモデルコース(日帰り)

  • 9:00:伊勢市駅に到着。歩いて外宮へ向かい、正宮と別宮を参拝。
  • 10:00:せんぐう館で式年遷宮について学ぶ。
  • 11:00:バスで内宮へ移動。宇治橋を渡り、御手洗場で手を清める。
  • 11:30:内宮の正宮、荒祭宮を参拝。
  • 13:00:おはらい町・おかげ横丁で伊勢うどんのランチ。赤福餅でひと休み。
  • 15:00:時間があれば二見浦の夫婦岩へ足をのばす。

時間に余裕があれば、伊勢や鳥羽、志摩のエリアに泊まって、朝の澄んだ空気の中で内宮を参拝するのもおすすめです。早朝の内宮は人が少なく、神域の静けさをいっそう感じられます。やわらかな朝日に照らされた宇治橋や、朝もやに包まれた五十鈴川の景色は、早起きした人だけが出会える特別な光景です。

アクセスと回り方

伊勢市駅
外宮の最寄り駅・伊勢市駅。駅から外宮までは徒歩約5分
写真: そらみみ / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

電車で行く

外宮の最寄り駅は、JR・近鉄の伊勢市駅です。駅から外宮までは歩いて約5分。名古屋方面からは近鉄特急やJRの快速「みえ」、大阪・京都方面からは近鉄特急で、乗り換えなしで伊勢市駅や宇治山田駅へ行くことができます。観光特急「しまかぜ」で、旅気分を楽しみながら向かうのもおすすめです。

外宮から内宮へ

外宮から内宮へは、三重交通の路線バス(51系統・55系統)や周遊バス「CANばす」で約15分です。外宮前のバス停から乗車し、「内宮前」で降ります。

車で行く

伊勢自動車道の伊勢西インターや伊勢インターから、内宮・外宮へ向かうことができます。年末年始や大型連休などは周辺道路が大変混雑し、臨時駐車場からシャトルバスで向かう「パーク&バスライド」が実施されることもあります。

よくある質問(Q&A)

伊勢神宮の参拝料はいくらですか?

参拝は無料です。内宮・外宮とも、参拝時間内であれば自由にお参りできます。

外宮と内宮、どちらから参拝すればいいですか?

外宮から参拝し、そのあとに内宮へ参拝するのが古くからのならわしです。外宮と内宮は約5km離れているので、バスなどで移動しましょう。

伊勢神宮の参拝時間は何時から何時までですか?

朝5時から参拝できます。閉門時間は季節によって異なり、1〜4月と9月は18時、5〜8月は19時、10〜12月は17時です。正月は時間が変わります。

参拝にはどのくらい時間がかかりますか?

公式サイトでは、外宮は30分〜60分、内宮は60分〜90分のモデルコースが紹介されています。おはらい町での食事や買い物も含めると、半日〜1日を見ておくと安心です。

正宮の写真は撮れますか?

内宮・外宮とも、正宮の石段から先は撮影禁止です。境内では、マナーを守って撮影しましょう。

次の式年遷宮はいつですか?

第63回式年遷宮は、2033年(令和15年)秋に最も重要な儀式「遷御の儀」が予定されています。2025年から関連のお祭りや行事が始まっています。

まとめ:一生に一度は訪れたい「こころのふるさと」

伊勢神宮は、125の宮社からなる日本人の「こころのふるさと」です。外宮から内宮へと順にお参りし、深い森の清らかな空気や、五十鈴川の清流、神明造の簡素で美しい社殿にふれれば、2000年の歴史を身近に感じられるはずです。

参拝のあとは、おはらい町・おかげ横丁で伊勢うどんや赤福餅を味わい、二見浦の夫婦岩まで足をのばすのもおすすめ。第63回式年遷宮に向けて特別な時期を迎えた伊勢で、昔の人々が憧れたお伊勢参りを楽しんでください。

参考情報

※掲載情報は記事作成時点のものです。参拝時間や交通情報などは変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

  1. 山口県旅行ガイド|車なしで萩・秋芳洞を巡る一泊二日と二泊三日

  2. 下関観光ガイド|車なしで唐戸市場・門司港を巡る半日と一日コース

  3. 尾道観光ガイド|車なしの半日モデルコース・千光寺と猫の細道

カテゴリー