

写真: Tak1701d / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
東京の下町・浅草にある浅草寺(せんそうじ)は、都内最古の寺として知られる、1400年近い歴史をもつ観音さまのお寺です。「浅草の観音さま」として親しまれ、赤い大提灯の雷門、にぎやかな仲見世、朱塗りの宝蔵門と五重塔など、東京を代表する景色が境内いっぱいに広がっています。国内外から一年中たくさんの人が訪れる、東京観光の定番スポットです。
境内には朝早くから夜遅くまでお参りする人の姿があり、季節ごとの行事や市もにぎやかに開かれます。仲見世での食べ歩きやお土産選び、夜のライトアップ、東京スカイツリーとの組み合わせなど、何度訪れても新しい楽しみ方が見つかるのも浅草寺の魅力です。
この記事では、浅草寺の歴史とご本尊、雷門・仲見世・宝蔵門・本堂・五重塔などの見どころ、ほおずき市や羽子板市などの年中行事、参拝時間とマナー、駅からのアクセスと周辺観光まで、浅草寺を訪れる前に知っておきたい情報をわかりやすく紹介します。
浅草寺の基本情報
まずは基本情報を表にまとめました。時間などは変わることがあるため、お出かけ前に公式サイトで最新情報を確認してください。
| 名称 | 金龍山 浅草寺(せんそうじ) |
|---|---|
| 宗派 | 聖観音宗 |
| 所在地 | 東京都台東区浅草2-3-1 |
| ご本尊 | 聖観世音菩薩(秘仏) |
| 創建 | 推古天皇36年(628年)と伝わる |
| 本堂の開堂時間 | 6:00〜17:00(10月〜3月は6:30〜) |
| 境内の参拝 | 無料 |
| ライトアップ | 毎日 日没〜23:00ごろ(本堂・五重塔・宝蔵門・雷門) |
| 電話 | 03-3842-0181(日曜・祝日を除く 9:00〜16:30) |
| アクセス | 東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武スカイツリーライン「浅草駅」から徒歩約5分 |
浅草寺とは:隅田川から現れた観音さま
漁師の網にかかった観音像
浅草寺の始まりは、飛鳥時代の推古天皇36年(628年)3月18日の朝にさかのぼります。宮戸川(今の隅田川)で漁をしていた檜前浜成(ひのくまのはまなり)・竹成(たけなり)の兄弟の網に、一体の仏像がかかりました。仏像のことをよく知らなかった兄弟は像を川に戻し、場所を変えて何度も網を打ちましたが、そのたびに像が網にかかるばかりで、魚はとれませんでした。
兄弟がその像を持ち帰り、土地の長・土師中知(はじのなかとも)に見せたところ、聖観世音菩薩の像だとわかりました。中知はやがて自分の家を寺に改め、観音さまの礼拝に生涯をささげたといいます。これが浅草寺の始まりです。
「金龍山」の由来
浅草寺に伝わる縁起には、観音さまが現れた日、一夜にして千本ほどの松が生え、3日後に天から金のうろこをもつ龍が松林に降りてきたと記されています。この不思議なできごとが、浅草寺の山号「金龍山(きんりゅうざん)」の由来になりました。毎年3月18日と10月18日に奉演される「金龍の舞」も、この言い伝えにちなんだものです。金色に輝く龍が境内を舞う姿は、とても迫力があります。
秘仏のご本尊と慈覚大師
大化元年(645年)、勝海上人という僧が観音堂を整えたとき、夢に観音さまが現れて「みだりに拝してはならない」と告げたといいます。それ以来、ご本尊は秘仏として、今も厨子の奥深くに大切におまつりされています。平安時代の初めには、比叡山の慈覚大師円仁が訪れ、ご本尊の前に置かれる「御前立(おまえだち)」の観音像を彫ったと伝えられています。
何度も再建されてきたお寺
浅草寺は長い歴史のなかで、地震や火事でたびたび建物を失ってきました。江戸時代には徳川家光が本堂や雷門などを再建し、幕府に深く守られます。昭和20年(1945年)の東京大空襲で本堂や五重塔などが焼けてしまいましたが、全国の人々の寄付によって再建され、今の姿になりました。
境内の見どころ
雷門:浅草のシンボル

写真: Zairon / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
浅草寺の入口に立つ雷門は、正式には「風雷神門(ふうらいじんもん)」といい、右に風神、左に雷神がまつられています。中央に下がる赤い大提灯は高さ3.9m、幅3.3m、重さ約700kg。提灯の底には見事な龍の彫刻があるので、ぜひ真下から見上げてみてください。
今の雷門は、幕末の火事で焼けてから95年ぶりの昭和35年(1960年)に、松下電器産業(今のパナソニック)の創業者・松下幸之助の寄進によって再建されたものです。国内外から訪れた人たちが記念撮影をする姿でいつもにぎわっていて、朝早い時間帯なら比較的ゆっくり写真を撮れます。
仲見世:日本で最も古い商店街のひとつ

写真: そらみみ (Soramimi) / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
雷門をくぐると、宝蔵門まで約250mにわたって朱塗りのお店が両側に並ぶ「仲見世(なかみせ)」が続きます。江戸時代の貞享2年(1685年)ごろ、境内の掃除を引き受けた近所の人たちに店を出す許可が与えられたのが始まりといわれ、日本で最も古い商店街のひとつです。
人形焼やきびだんご、揚げまんじゅう、雷おこし、せんべいなどの和菓子、扇子や手ぬぐい、着物小物、日本人形など、日本らしいお土産がずらりと並びます。食べ歩きを楽しむときは、混雑した通りで人にぶつからないよう、お店の前で食べ終えるようにしましょう。

写真: DXR / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
宝蔵門:仁王像が守る楼門

写真: Marco Almbauer / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
仲見世の先にそびえる朱色の楼門が宝蔵門です。もとは仁王門と呼ばれ、左右に仁王像が立っています。昭和39年(1964年)に再建され、上の階に国の重要文化財「元版一切経」などのお経や寺宝を納めていることから、宝蔵門と名前が変わりました。門の中央に下がる「小舟町」の大提灯や、背面に掛かる大きなわらじも見どころです。
本堂(観音堂)

写真: そらみみ (Soramimi) / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
宝蔵門をくぐった正面に建つのが、ご本尊の聖観世音菩薩をまつる本堂(観音堂)です。旧本堂は国宝でしたが東京大空襲で焼け、昭和33年(1958年)に再建されました。急な角度の大屋根が特徴で、遠くからでもよく見えます。間口34.5m、奥行32.7m、棟の高さは29.4mもあり、近くに立つとその大きさに驚かされます。今の屋根は、軽くて丈夫なチタン瓦でふかれています。

写真: そらみみ (Soramimi) / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
本堂の正面には直径4.5mの大提灯が下がり、堂内に入ると、天井の美しい絵や「施無畏(せむい)」と書かれた大きな額を見ることができます。本堂では毎日、朝・昼(10時)・夕(14時)に法要が行われていて、お経の声が響くなかでお参りするのも心に残る体験です。

写真: そらみみ / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
本堂の前には大きな常香炉があり、立ちのぼる煙を体の悪いところにかけると良くなるといわれ、いつも人だかりができています。
おみくじ:「凶」が多いことで有名
本堂の中では、筒をふって番号の書かれた棒を出す、昔ながらのおみくじを引くことができます。浅草寺のおみくじは、古いならわしを今も守っているため「凶」が出る割合が高いことで知られています。もし凶が出ても心配はいりません。境内の結び所におみくじを結んで、観音さまに良い方へ導いてもらいましょう。英語が書かれたおみくじもあり、海外からの参拝者にも人気です。
二天門
本堂の東側にある二天門は、江戸時代初期に建てられた門で、国の重要文化財です。空襲を逃れた貴重な建物のひとつで、仲見世側のにぎわいとはちがい、落ち着いた雰囲気が漂っています。隅田川方面へ抜けるときに通ってみてください。
五重塔

写真: Christophe95 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
宝蔵門の西側にそびえる五重塔は、地上からの高さが約53m。昭和48年(1973年)に再建されたもので、最上層にはスリランカの寺院から迎えた仏舎利(お釈迦さまの遺骨)が納められています。江戸時代には、上野寛永寺・芝増上寺・谷中天王寺の五重塔とともに「江戸四塔」と呼ばれ、浮世絵にもたびたび描かれた浅草のランドマークでした。
影向堂と六角堂

写真: Christophe95 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
本堂の北西にある影向堂(ようごうどう)には、干支ごとの守り本尊がまつられていて、自分の生まれ年の仏さまにお参りできます。浅草寺の御朱印はこの影向堂で受けられます。近くには、室町時代の建物で都内最古の木造建築とされる「六角堂」もあります。
浅草神社

写真: Kakidai / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
本堂の東どなりには、浅草寺の始まりにかかわった3人(檜前浜成・竹成と土師中知)をまつる浅草神社があります。5月の三社祭はこの神社のお祭りで、東京を代表する大祭として知られています。浅草寺とあわせてお参りしてみてください。社殿は江戸時代初期に徳川家光が寄進したもので、重要文化財に指定されています。
年中行事:ほおずき市と羽子板市

写真: d. F from Japan / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)
浅草寺では一年を通してさまざまな行事が行われます。なかでも人気なのが次の行事です。
- 金龍の舞(3月18日・10月18日):観音さまの示現を伝える金色の龍の舞。
- 四万六千日・ほおずき市(7月9日・10日):この日にお参りすると、4万6千日分お参りしたのと同じ功徳があるといわれます。境内にはほおずきを売る屋台が並び、夏の風物詩になっています。
- 羽子板市(12月17日〜19日):一年最後の縁日「納めの観音」にあわせて、華やかな羽子板を売る店が境内に並びます。
- 除夜の鐘(12月31日):弁天山で鐘がつかれ、新しい年を迎えます。

写真: Kobayashi Kiyochika / Wikimedia Commons(Public domain)
羽子板市はもともと、年の瀬に正月用品を売る「歳の市」から始まったもので、江戸時代から続く年末の風物詩です。
夜の浅草寺:ライトアップ

写真: DimiTalen / Wikimedia Commons(CC0)
浅草寺では、毎日日没から23時ごろまで、本堂・五重塔・宝蔵門・雷門がライトアップされています。昼間のにぎわいとはちがい、夜の境内は落ち着いた雰囲気で、金色に浮かび上がる建物がとても幻想的です。本堂の開堂時間は17時までですが、境内は夜も歩くことができます。昼と夜の両方を見比べるのもおすすめです。
訪れる前に知っておきたいポイント
- 朝早い時間がおすすめ:昼前後は大変混み合います。ゆっくり写真を撮ったり参拝したりしたい場合は、朝の時間帯がねらい目です。
- 仲見世の営業時間:お店の多くは朝から夕方ごろまでの営業です。夜はシャッターに描かれた絵を見ながら散歩を楽しめます。
- 食べ歩きのマナー:混雑した通りを歩きながら食べるのはひかえ、お店の前で食べ終えるようにしましょう。
- 着物で歩くのもおすすめ:浅草には着物のレンタル店がたくさんあり、着物姿で境内を歩くと、写真映えする思い出になります。慣れない草履で歩くので、時間に余裕をもって行動しましょう。
- 雨の日も楽しめる:雨の日は晴れの日より人が少なめになることも多く、雨にぬれた石畳と朱色の門の組み合わせもまた風情があります。
- お堂の中では静かに:本堂の中は祈りの場です。大きな声で話したり、法要中に前を横切ったりしないよう気をつけましょう。
お参りの作法
浅草寺はお寺なので、お参りでは手をたたかず、静かに合掌します。
- ① 門の前で一礼してから境内に入る
- ② お水舎(おみずや)で左手、右手の順に清め、左手に水を受けて口をすすぐ
- ③ 本堂の前でお賽銭を入れる
- ④ 胸の前で静かに手を合わせて祈り、最後に一礼する
アクセスと周辺観光
電車で行く
東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武スカイツリーラインの「浅草駅」から歩いて約5分です。つくばエクスプレスの浅草駅からも歩いて行けます。羽田空港からは京急線と直通運転の都営浅草線で、乗り換えなしで浅草駅まで行ける便もあります。
周辺の観光スポット

写真: Biliana Nikolova-Lefterova / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
浅草寺から隅田川を渡ると、東京スカイツリーが見えてきます。東武スカイツリーラインで1駅、歩いても20分ほどの距離です。雷門の向かいにある浅草文化観光センターの展望テラスからは、仲見世や浅草寺の境内を上から見下ろせます。隅田川沿いの散歩や水上バスの船旅、人力車での浅草めぐり、着物レンタルで街歩きなど、浅草ならではの楽しみ方もたくさんあります。
浅草グルメ
浅草は、江戸時代から続く老舗の多い町でもあります。天ぷらやすき焼き、うなぎ、そばなどの和食の名店や、昔ながらの洋食屋、甘味処がたくさんあります。仲見世や周辺の商店街での食べ歩きとあわせて、浅草ならではの味を楽しんでみてください。
おすすめモデルコース(半日)
- 8:00:浅草駅に到着。人の少ない雷門で記念撮影。
- 8:30:仲見世を歩き、宝蔵門へ。
- 9:00:本堂でお参りし、常香炉の煙を浴びる。
- 9:30:五重塔、影向堂、浅草神社をめぐり、御朱印を受ける。
- 10:30:仲見世に戻って食べ歩きとお土産選び。
- 12:00:浅草でランチ。午後は東京スカイツリーへ。
よくある質問(Q&A)
浅草寺の参拝料はかかりますか?
境内の参拝は無料です。
浅草寺の参拝時間は?
本堂は6:00〜17:00(10月〜3月は6:30〜)に開いています。境内は時間外でも歩くことができ、毎日日没から23時ごろまでライトアップされています。
浅草駅から浅草寺への行き方は?
東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武スカイツリーラインの浅草駅から、雷門まで歩いて約5分です。
浅草寺の御朱印はどこでもらえますか?
本堂の北西にある影向堂で受けることができます。
お参りのとき手をたたきますか?
浅草寺はお寺なので、手はたたかずに静かに合掌してお参りします。
ほおずき市と羽子板市はいつですか?
ほおずき市は毎年7月9日・10日、羽子板市は毎年12月17日〜19日に行われます。
まとめ:東京の歴史と活気を感じる観音さまのお寺へ
浅草寺は、1400年近い歴史をもつ都内最古のお寺です。雷門の大提灯、にぎやかな仲見世、朱色の宝蔵門と五重塔、そして多くの人の祈りが集まる本堂と、境内のどこを歩いても東京らしい活気と歴史を感じられます。
朝のすがすがしい参拝、昼の食べ歩き、夜のライトアップ、季節の市と、時間や季節によって違う顔を見せてくれるのも魅力です。東京を訪れたら、ぜひ「浅草の観音さま」にお参りしてみてください。
参考情報
※この記事の情報は執筆時点のものです。開堂時間、行事日程、交通情報などは変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。



