

写真: Jpatokal / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
杉の大木が立ちならぶ参道をのぼっていくと、目の前にあらわれるのは、金色と極彩色にかがやく豪華な門。あまりの美しさに、いつまで見ていても飽きないことから「日暮の門(ひぐらしのもん)」ともよばれる「陽明門(ようめいもん)」です。
栃木県日光市にある「日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)」は、江戸幕府を開いた徳川家康をまつる神社です。1617年に創建され、三代将軍・徳川家光によって現在の豪華な姿に建てかえられました。1999年には「日光の社寺」としてユネスコの世界文化遺産に登録されています。
境内には、国宝8棟、重要文化財34棟をふくむ55棟の建物がならび、5,000をこえるともいわれる彫刻がほどこされています。「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿や、「眠り猫」など、日本中の人が知っている有名な彫刻もここにあります。
この記事では、日光東照宮の歴史と見どころ、拝観料と拝観時間、陽明門・唐門・三猿・眠り猫・奥宮・鳴龍などの名所、春と秋の例大祭、周辺の神橋や日光杉並木、日光のグルメ、アクセス、モデルコースまで、はじめての人にもわかりやすく紹介します。
日光東照宮の基本情報
まずは基本の情報を表にまとめました。時間や料金は変わることがあるので、お出かけ前に公式サイトで確認してください。
| 名称 | 日光東照宮 |
|---|---|
| 御祭神 | 徳川家康 |
| 所在地 | 〒321-1431 栃木県日光市山内2301 |
| 電話 | 0288-54-0560 |
| 拝観時間 | 4月1日〜10月31日 9:00〜17:00/11月1日〜3月31日 9:00〜16:00(受付は閉門30分前まで) |
| 拝観料 | 大人・高校生1,600円/小・中学生550円 |
| 宝物館とのセット券 | 大人・高校生2,400円/小・中学生870円 |
| 世界遺産 | 「日光の社寺」(1999年登録) |
| 公式サイト | 日光東照宮 公式サイト |
拝観券で、表門から陽明門、拝殿、石の間、東廻廊(眠り猫)、奥宮、本地堂(鳴龍)などを見学できます。祭典や修理工事によって、一部の拝観が制限されることもあります。
境内では、日本語・英語・中国語に対応した音声ガイド(1日500円)を借りることができます。29の建物をわかりやすく解説してくれるので、はじめての人にはとくにおすすめです。
日光東照宮の歴史

写真: Fg2 / Public domain
1616年、徳川家康は駿府(現在の静岡市)で亡くなりました。家康は「遺体は久能山におさめ、一周忌が過ぎたら日光山に小さな堂を建てて、神としてまつるように」と遺言を残したといわれています。
その遺言にしたがって、1617年、家康は久能山から日光にうつされ、「東照社」としてまつられました。その後1645年に朝廷から「宮」の号をさずかり、「東照宮」とよばれるようになりました。
現在の豪華な社殿のほとんどは、家康を深く尊敬していた三代将軍・徳川家光によって、1636年に建てかえられたものです。「寛永の大造替(かんえいのだいぞうたい)」とよばれるこの工事では、金56万8千両という莫大な費用がかけられ、わずか1年5か月で完成したと伝えられています。
1999年、日光東照宮は、日光二荒山神社、日光山輪王寺とともに「日光の社寺」として世界文化遺産に登録されました。
表参道と石鳥居・五重塔

写真: Joli Rumi / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
日光東照宮の参拝は、杉木立にかこまれた表参道から始まります。石段をのぼると、まず大きな「石鳥居」が見えてきます。1618年に九州・福岡藩主の黒田長政が奉納したもので、石材は九州から船で運ばれ、そこから人の力で日光まで運ばれました。
石鳥居の左手には、高さ約36メートルの「五重塔」がそびえています。1650年に小浜藩主の酒井忠勝が奉納し、火災のあと1818年に再建されたものです。朱色の塔に、十二支の彫刻がほどこされています。

写真: Guilhem Vellut / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
石鳥居をくぐった先にあるのが、東照宮で最初の門「表門」です。左右に仁王像がまつられていることから「仁王門」ともよばれます。ここから拝観区域に入ります。
神厩舎と三猿

写真: Jpatokal / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
表門をくぐってすぐ左手にあるのが、神さまの馬をつなぐ「神厩舎(しんきゅうしゃ)」です。昔から猿は馬を守るといわれていたことから、建物の長押(なげし)の上には、猿の彫刻が8面ほどこされています。
8面の彫刻は、猿の一生を通して、人間の生き方を表しているといわれています。その中でもっとも有名なのが、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿です。子どものうちは、悪いことを見たり、言ったり、聞いたりしないように、という教えがこめられています。
小さな彫刻ですが、いつも多くの人が足を止めて写真を撮っています。ほかの7面の猿の物語も、ぜひ順番に見てみてください。
三神庫と想像の象

写真: Fg2 / Public domain
神厩舎の向かい側には、「三神庫(さんじんこ)」とよばれる3つの倉がならんでいます。春と秋の例大祭で使われる馬具や装束などがおさめられています。
上神庫の屋根の下には、2頭の「想像の象」の大きな彫刻があります。江戸時代の絵師・狩野探幽が、実際の象を見たことがないまま、想像で下絵を描いたといわれています。本物の象とはちょっとちがう、ユニークな姿をさがしてみてください。
陽明門 ― 日暮の門

写真: Nerotaso / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
日光東照宮でいちばんの見どころが、国宝の「陽明門」です。日本を代表するもっとも美しい門といわれ、宮中の門の名をいただいたと伝えられています。
門には、中国の故事や逸話、子どもの遊び、聖人や賢人など、500以上の彫刻がほどこされています。白・金・赤・青・緑など色あざやかな彫刻は、いつまで見ていても見飽きないことから「日暮の門」とよばれています。

写真: Fg2 / Public domain
陽明門の柱の1本は、わざと彫刻のもようが逆さになっている「逆柱(さかばしら)」です。「完成したものは、あとはくずれるだけ」という考えから、わざと未完成にしたといわれています。どの柱が逆柱か、探してみるのも楽しいですよ。
陽明門は、2017年に「平成の大修理」を終え、あざやかな色がよみがえりました。
唐門と御本社

写真: Stanislaus / Public domain
陽明門をくぐった先にあるのが、国宝の「唐門(からもん)」です。全体が胡粉(ごふん)とよばれる白い顔料でぬられ、中国の伝説にもとづく細かい彫刻がほどこされています。

写真: Fg2 / Public domain
唐門の奥には、東照宮でもっとも重要な「御本社(ごほんしゃ)」があります。本殿・石の間・拝殿からなる建物で、国宝に指定されています。拝殿の中に入ってお参りすることができます。
眠り猫と奥宮

写真: Guilhem Vellut / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
御本社の東側、東廻廊の門の上には、国宝の「眠り猫」の彫刻があります。江戸時代の名工・左甚五郎(ひだりじんごろう)の作と伝えられています。牡丹の花にかこまれ、日の光をあびてうたたねしている姿から、「日光」にちなんで彫られたともいわれています。
眠り猫の裏側には、2羽のすずめが彫られています。猫が眠っているので、すずめも安心して遊べる。そこから「平和」を表しているともいわれています。

写真: Guilhem Vellut / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
眠り猫の門をくぐると、家康の墓所である「奥宮(おくみや)」へと続く石段があります。杉木立の中の石段は200段以上あり、少し大変ですが、のぼりきった先には、家康がねむる「御宝塔(ごほうとう)」があります。静かでおごそかな空気に包まれた場所です。
本地堂の鳴龍
拝観区域の中にある「本地堂(ほんじどう)」は、天井に大きな龍の絵が描かれていることで有名です。
この龍の頭の下で拍子木を打つと、天井と床のあいだで音が反響し、まるで龍が鳴いているような「キーン」という音が聞こえます。これが「鳴龍(なきりゅう)」です。龍の頭以外の場所で打っても、このような音は聞こえないという、ふしぎな仕掛けです。
本地堂の中は撮影禁止です。係の人の実演を聞いて、ふしぎな音を体験してみてください。
宝物館と美術館
日光東照宮には、境内の外に「宝物館」と「美術館」があります。
宝物館では、徳川家康ゆかりの品々や、歴代将軍が奉納した刀剣・甲冑などの宝物が展示されています。家康の生涯を紹介する映像もあり、東照宮をより深く理解することができます。拝観券とのセット券を使うとお得です。
美術館は、かつての社務所の建物を使った施設で、横山大観など近代の日本画家たちが描いたふすま絵などが見られます。
参拝のマナー
日光東照宮は、いまも多くの人がお参りする神社です。気持ちよく見学するために、マナーを守りましょう。
- ① 鳥居や門の前で一礼する:神さまの場所に入るときの、ていねいなあいさつです。
- ② 手水舎で手と口を清める:御水舎で手と口を清めてからお参りしましょう。
- ③ 拝殿では静かに:拝殿の中では大きな声を出さず、案内に従いましょう。
- ④ 建物にさわらない:貴重な文化財なので、柱や彫刻にはさわらないようにしましょう。
春と秋の例大祭と千人武者行列
日光東照宮では、春と秋に大きなお祭りが行われます。
- ① 春季例大祭:5月17日に例祭と小笠原流の流鏑馬(やぶさめ)、5月18日に神輿渡御祭「百物揃千人武者行列」が行われます。
- ② 秋季祭:10月16日に流鏑馬、10月17日に「百物揃千人武者行列」が行われます。
「百物揃千人武者行列」は、神輿を中心に、鎧武者など53種類、1,200人以上が参道を練り歩く、とても豪華な行列です。江戸時代にタイムスリップしたような光景を見ることができます。
四季の日光東照宮
日光東照宮は、季節ごとにちがった美しさを見せてくれます。
- ① 春(4〜5月):新緑の季節。5月の春季例大祭も見どころです。
- ② 夏(6〜8月):杉木立がつくる日かげが涼しく、避暑にもぴったりです。
- ③ 秋(10〜11月):境内のモミジが色づき、豪華な社殿と紅葉の組み合わせが美しい季節です。
- ④ 冬(12〜2月):雪が積もると、色あざやかな社殿と白い雪のコントラストが幻想的です。
日光は東京より気温が低いので、春や秋でも上着を持っていくと安心です。
神橋 ― 日光の玄関口

写真: BluKyubi / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
東武日光駅やJR日光駅から東照宮へ向かう途中、大谷川(だいやがわ)にかかる朱色の橋が「神橋(しんきょう)」です。日光二荒山神社の建造物で、日本三大奇橋のひとつに数えられています。
伝説では、奈良時代に勝道上人(しょうどうしょうにん)が川を渡れずに困っていたとき、神さまが2匹の蛇を放ち、その背中に山菅(やますげ)が生えて橋になったといわれています。そのため「山菅の蛇橋」ともよばれます。
神橋は、有料で橋の上を渡ることもできます。緑の山々と清流、朱色の橋の組み合わせは、日光を代表する景色です。
二社一寺めぐり
世界遺産「日光の社寺」は、日光東照宮のほか、「日光二荒山神社」と「日光山輪王寺」の「二社一寺」からなります。
- ① 日光二荒山神社:日光の山々をご神体とする古い神社。縁結びの神社としても知られています。
- ② 日光山輪王寺:奈良時代に勝道上人が開いたお寺。三仏堂には、大きな3体の仏像がまつられています。
- ③ 大猷院(たいゆういん):三代将軍家光の墓所。東照宮よりひかえめながら、美しい建物が残っています。
東照宮とあわせて二社一寺をめぐれば、日光の歴史と信仰をより深く感じることができます。
日光杉並木

写真: koh-etsu / Public domain
日光へ向かう街道沿いには、「日光杉並木」が続いています。家康の家臣・松平正綱が、1625年ごろから約20年かけて杉を植え、東照宮に寄進したものです。
現在も約12,500本の杉が残っていて、世界一長い並木道としてギネスブックにも紹介されています。国の特別史跡・特別天然記念物にも指定されています。
しかし、交通量の増加などで、毎年50本近くの木が枯れてしまっているそうです。東照宮では「日光杉並木オーナー制度」などの保護活動を行っています。
日光のグルメとおみやげ
日光には、ぜひ味わいたい名物があります。
- ① 湯波(ゆば):日光の名物。豆乳を温めてできる膜を、たっぷり巻いたり重ねたりした「日光ゆば」は、ボリュームたっぷりです。湯波料理や湯波丼が楽しめます。
- ② 日光羊羹:きれいな水でつくられる日光の羊羹は、おみやげの定番です。
- ③ 天然氷のかき氷:冬に池でつくられる天然氷を使ったかき氷は、口どけがやわらかく人気です。
- ④ 日光の地酒:日光のきれいな水でつくられた日本酒もおすすめです。
東照宮への参道や、日光駅から神橋までの通りには、食事処やおみやげ屋さんがならんでいます。
日光東照宮へのアクセス

写真: Saigen Jiro / Wikimedia Commons(CC0)
日光東照宮へは、東京から電車で約2時間で行くことができます。
| 浅草から | 東武特急「けごん」などで東武日光駅まで約1時間50分 |
|---|---|
| 新宿から | JR・東武直通特急「日光」で東武日光駅まで約2時間 |
| 宇都宮から | JR日光線で日光駅まで約45分 |
| 日光駅から | バスで「表参道」または「西参道」下車(約10分)、徒歩なら約30〜40分 |
| 車で | 日光宇都宮道路 日光ICから約2km |
東照宮の大駐車場は、普通車600円です。紅葉の時期や連休は道路がとても混雑するので、電車とバスの利用がおすすめです。
おすすめモデルコース
日光東照宮と周辺の世界遺産をめぐる、1日のモデルコースをご紹介します。
- ① 9:00 東武日光駅に到着、バスで神橋へ
- ② 9:20 神橋を見学
- ③ 9:45 輪王寺・三仏堂にお参り
- ④ 10:30 表参道から日光東照宮へ(石鳥居・五重塔)
- ⑤ 11:00 三猿、想像の象、陽明門を見学
- ⑥ 11:45 唐門、御本社、眠り猫、奥宮へ
- ⑦ 12:45 本地堂で鳴龍を体験
- ⑧ 13:15 湯波料理のランチ
- ⑨ 14:30 日光二荒山神社と大猷院へ
- ⑩ 16:00 東武日光駅へ戻る
時間があれば、バスで華厳の滝や中禅寺湖へ足をのばすのもおすすめです。
日光東照宮を楽しむためのポイント
- ① 歩きやすい靴で:石段や坂道が多く、奥宮へは200段以上の石段をのぼります。
- ② 時間に余裕を:東照宮だけでも1時間30分〜2時間はかかります。
- ③ 音声ガイドを使う:中国語にも対応していて、彫刻の意味がよくわかります。
- ④ 早めの時間に:午後は団体客で混雑することが多いので、午前中がおすすめです。
- ⑤ 撮影マナーを守る:本地堂など撮影禁止の場所もあるので、案内に従いましょう。
よくある質問
日光東照宮の拝観料はいくらですか?
大人・高校生1,600円、小・中学生550円です。宝物館とのセット券は大人・高校生2,400円です。
日光東照宮の拝観時間は?
4月1日〜10月31日は9:00〜17:00、11月1日〜3月31日は9:00〜16:00です。受付は閉門の30分前までです。
三猿と眠り猫はどこにありますか?
三猿は表門を入ってすぐの神厩舎、眠り猫は御本社の東側の東廻廊にあります。どちらも拝観券で見られます。
日光東照宮の見学にはどのくらい時間がかかりますか?
東照宮だけなら1時間30分〜2時間が目安です。二社一寺をすべてめぐるなら、半日〜1日あると安心です。
東京から日光東照宮へはどう行きますか?
浅草から東武特急で東武日光駅まで約1時間50分、新宿からJR・東武直通特急で約2時間です。駅からはバスで約10分です。
中国語の音声ガイドはありますか?
あります。日本語・英語・中国語に対応した音声ガイドを、1日500円で借りることができます。
まとめ
日光東照宮は、徳川家康をまつる、豪華絢爛な世界遺産の神社です。いつまでも見ていたくなる陽明門、教えのこもった三猿、平和を願う眠り猫、家康がねむる奥宮、ふしぎな音がひびく鳴龍。一つひとつの建物や彫刻に、江戸時代の人々の技と思いがこめられています。
東京から日帰りでも行ける日光で、日本の伝統美の極みにふれてみてください。
参考情報
※この記事の情報は執筆時点のものです。拝観時間、料金などは変わることがありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。







