嵐山・竹林の小径

嵯峨野の竹林の小径
嵐山・竹林の小径
嵯峨野の竹林の小径
青々とした竹がどこまでも続く竹林の小径
写真: Naokijp / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

空にむかってまっすぐのびる竹。風がふくたびに、さらさらと葉ずれの音が聞こえてきます。京都の西、嵯峨野(さがの)にある「竹林の小径(ちくりんのこみち)」は、京都を代表する絶景のひとつです。

竹林のある嵐山・嵯峨野エリアは、平安時代から貴族たちが別荘をかまえ、舟遊びや紅葉狩りを楽しんだ景勝地。桂川にかかる渡月橋、世界遺産の天龍寺、静かな山あいのお寺や神社、そしてトロッコ列車や川下りまで、見どころがたくさんあります。

春は桜、夏は青もみじと川風、秋は燃えるような紅葉、冬は雪化粧。どの季節に訪れても、都会の京都とはひと味ちがう、自然ゆたかな京都に出会えます。

この記事では、竹林の小径を中心に、嵐山・嵯峨野の見どころ、天龍寺の拝観料、トロッコ列車や保津川下り、グルメ、アクセス、モデルコースまで、はじめての人にもわかりやすく紹介します。

嵐山・竹林の小径の基本情報

まずは基本の情報を表にまとめました。料金や時間は変わることがあるので、お出かけ前に公式情報を確認してください。

名称竹林の小径(ちくりんのこみち)
エリア京都府京都市右京区 嵯峨野・嵐山
見学自由(散策無料)
主な見どころ渡月橋、天龍寺、野宮神社、常寂光寺、大河内山荘、トロッコ列車、保津川下り
天龍寺 庭園8:30〜17:00、高校生以上500円・小中学生300円
嵯峨野トロッコ列車片道 大人880円・小児440円
アクセス嵐電「嵐山駅」、JR「嵯峨嵐山駅」、阪急「嵐山駅」
嵐電 嵐山駅
京福電車(嵐電)の嵐山駅
写真: Petr Vodička / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

嵐山・嵯峨野の歴史:貴族が愛した景勝地

嵐山・嵯峨野は、平安京ができたころから、都の人々にとって特別な場所でした。嵯峨天皇はこの地に離宮をつくり、のちにそれが大覚寺(だいかくじ)となりました。貴族たちは大堰川(おおいがわ、渡月橋より上流の桂川の呼び名)に船をうかべ、和歌や音楽を楽しんだといいます。

小倉山のふもとには、藤原定家が「小倉百人一首」を選んだといわれる山荘があったと伝えられています。嵯峨野には、いまも和歌や物語にゆかりのある場所がたくさん残っています。

渡月橋は、平安時代に僧・道昌(どうしょう)が架けたのが始まりとされ、いまの橋は昭和9年(1934年)に完成したものです。鉄筋コンクリートでつくられていますが、らんかんは木でつくられ、まわりの景色になじむようにくふうされています。

竹林の小径:竹に包まれる散歩道

竹林の中の道
竹の葉ずれの音に包まれる小径
写真: Mitchwandrew / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

竹林の小径は、天龍寺の北門のあたりから野宮神社をへて、大河内山荘の方へと続く散歩道です。道の両側には、何万本もの竹がすき間なく立ち並び、まるで緑のトンネルの中を歩いているような気分になります。

晴れた日には、竹の間からさしこむ光がやわらかく、道に美しい影を落とします。くもりや雨の日は、しっとりとした空気の中で、竹の緑がいっそう深く見えます。どんな天気でも、それぞれの美しさがあります。

竹林の小径は人気の観光地なので、昼間はとても混み合います。人の少ない静かな竹林を楽しみたいなら、早朝に訪れるのがおすすめです。朝の光の中、竹の葉がこすれる音だけが聞こえる時間は、とても特別なものです。

竹林は地域の人々が大切に守ってきたものです。竹に落書きをしたり、竹林の中に入ったりするのは絶対にやめましょう。

渡月橋:嵐山のシンボル

渡月橋と嵐山
嵐山を背に桂川にかかる渡月橋
写真: Tomomarusan / Wikimedia Commons(CC BY 2.5)

嵐山を代表する景色といえば、桂川にかかる「渡月橋(とげつきょう)」です。鎌倉時代に、亀山上皇が月が橋を渡っていくように見える様子を見て、「くまなき月の渡るに似る」と言ったことが名前の由来と伝えられています。

山を背にゆったりとかかる橋の姿は、四季を通じて絵になります。春は桜、秋は紅葉が山をいろどり、橋の上から眺める景色は格別です。

渡月橋から見た夜の桂川
夜は静かな川面に明かりが映ります
写真: 掬茶 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

夕方から夜にかけては、川面に明かりが映り、昼間とはちがう静かな美しさに出会えます。毎年12月には「京都・嵐山花灯路」として、嵐山一帯が灯りで照らされる時期もありました。

天龍寺:世界遺産の禅寺と曹源池庭園

天龍寺の曹源池庭園
嵐山を借景にした天龍寺の曹源池庭園
写真: ttshr1970 / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

嵐山の中心にある天龍寺(てんりゅうじ)は、臨済宗天龍寺派の大本山です。室町幕府を開いた足利尊氏が、後醍醐天皇の霊をなぐさめるために建てたお寺で、「古都京都の文化財」のひとつとして世界遺産に登録されています。

秋の曹源池
紅葉に色づく秋の曹源池庭園
写真: ttshr1970 / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

天龍寺でいちばんの見どころは、夢窓疎石(むそうそせき)がつくったと伝わる「曹源池(そうげんち)庭園」です。池のむこうに嵐山や亀山を取り入れた「借景」の庭で、日本で最初に国の史跡・特別名勝に指定された庭園としても知られています。大方丈の縁側に座って、ゆっくり庭を眺める時間は格別です。

庭園の参拝時間8:30〜17:00(受付終了16:50)
庭園参拝料高校生以上500円、小中学生300円
諸堂(大方丈・書院・多宝殿)庭園参拝料に300円追加
法堂「雲龍図」別途500円(土日祝を中心に公開)

法堂の天井には、大きな龍の絵「雲龍図」が描かれています。どこから見ても龍ににらまれているように見えることから「八方睨みの龍」と呼ばれています。

天龍寺の北門を出ると、すぐに竹林の小径です。天龍寺と竹林をセットでまわると、効率よく観光できます。

野宮神社:縁結びと黒木の鳥居

野宮神社
黒木の鳥居で知られる野宮神社
写真: Hyppolyte de Saint-Rambert / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

竹林の小径の途中にある小さな神社が「野宮神社(ののみやじんじゃ)」です。昔、伊勢神宮にお仕えする皇女(斎王)が、伊勢へ向かう前に身を清めた場所とされ、『源氏物語』にも登場します。

木の皮がついたままのクヌギでつくられた「黒木の鳥居」は、日本でもめずらしい古い形の鳥居です。縁結びや子宝のご利益で知られ、なでながら願いごとをすると叶うといわれる「お亀石」もあります。

嵯峨野の静かなお寺めぐり

竹林の小径を抜けて北へ歩くと、田畑や古いお寺が点在する、のどかな嵯峨野の風景が広がります。

常寂光寺

常寂光寺の多宝塔
紅葉に包まれる常寂光寺の多宝塔
写真: Inoue-hiro / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

小倉山のふもとにある常寂光寺(じょうじゃっこうじ)は、紅葉の名所として知られるお寺です。石段を上ると、もみじの間から多宝塔が見え、境内からは京都の街を見わたせます。秋には、境内が赤や黄色にそまり、とても美しい景色になります。

大河内山荘

大河内山荘の庭園
静かな庭園が広がる大河内山荘
写真: Basile Morin / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

竹林の小径の奥にある大河内山荘(おおこうちさんそう)は、昭和の時代劇スター・大河内傳次郎が、30年ほどかけてつくりあげた別荘です。広い庭園からは、京都の街や比叡山、保津峡を眺めることができます。入園料にはお抹茶とお菓子がついていて、庭を歩いたあとにゆっくりひと休みできます。

そのほかの嵯峨野のお寺

さらに北へ足をのばすと、小倉百人一首ゆかりの二尊院、約8000体の石仏が並ぶ化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)、苔庭が美しい祇王寺など、静かなお寺が点在しています。レンタサイクルを使えば、嵯峨野をのんびりめぐることもできます。

嵐山モンキーパークいわたやま

渡月橋の南側、嵐山の山の上には、野生のニホンザルが暮らす「嵐山モンキーパークいわたやま」があります。山道を20分ほど上る必要がありますが、頂上からは京都の街を見わたせ、のびのびと暮らすサルたちを間近に見ることができます(有料)。

嵯峨野トロッコ列車で保津峡へ

嵯峨野トロッコ列車
保津峡を走る嵯峨野トロッコ列車(トロッコ亀岡駅)
写真: Streetdeck / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

嵐山観光で人気なのが「嵯峨野トロッコ列車」です。トロッコ嵯峨駅からトロッコ亀岡駅までの約7.3キロを、約25分かけてゆっくり走ります。

車窓から見た保津峡
トロッコ列車の車窓に広がる保津峡の渓谷
写真: pang yu liu / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

列車は保津川の渓谷にそって走り、窓のない車両からは、川の流れや岩山、季節の木々をすぐ近くに感じられます。春の桜、夏の青葉、秋の紅葉と、季節ごとに車窓の景色が変わるのも魅力です。

運賃は片道で大人880円、小児440円。乗る区間にかかわらず同じ料金です。インターネットで予約でき、満席の場合も駅の窓口で当日券が販売されることがあります(数に限りあり)。運休日があるので、乗る前に運行日を確認しましょう。2027年春には新しい車両がデビューする予定です。

保津川下り:船で渓谷を下る

保津川下り
船頭さんのさおさばきで渓谷を下る保津川下り
写真: 江戸村のとくぞう / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

トロッコ列車で亀岡まで行ったら、帰りは「保津川下り」で嵐山へ戻るのが定番のコースです。亀岡から嵐山まで約16キロの渓流を、船頭さんたちがさおやかいをあやつりながら、約2時間かけて下ります。

急流をざぶんと下るスリルと、静かな淵でのんびり景色を楽しむ時間。船頭さんの楽しいお話も、保津川下りの魅力のひとつです。料金や運航時間は季節によって変わるので、公式サイトで確認しましょう。

竹林と渡月橋をきれいに撮るコツ

竹林の小径で写真を撮るなら、朝の光がやわらかい時間がいちばんです。竹を下から見上げるように撮ると、空に向かってのびる竹の高さがよく伝わります。人が多いときは、道の曲がり角や、少し横の小道から撮ると、混雑がめだちにくくなります。

渡月橋は、橋の北側の桂川のほとりから、嵐山をバックに撮るのが定番です。阪急嵐山駅側の中之島公園からも、橋と山をいっしょに写せます。立ち止まって撮影するときは、ほかの人の通行のじゃまにならないようにしましょう。

四季の嵐山:桜と紅葉

嵐山の紅葉
秋の嵐山をいろどるもみじ
写真: lumoplank / Wikimedia Commons(CC0)

嵐山は、春と秋がとくに美しいエリアです。

春は、嵐山の山肌や桂川の岸辺に桜が咲き、渡月橋のまわりがやさしい桜色に包まれます。見ごろは例年3月の終わりから4月のはじめごろです。

秋は、嵐山全体が赤や黄色にそまります。天龍寺の曹源池庭園や常寂光寺、トロッコ列車の車窓など、紅葉の見どころがたくさんあります。見ごろは例年11月の中ごろから下旬ごろです。

夏は、青もみじと竹林の緑がさわやかで、桂川では鵜飼(うかい)も行われます。冬は観光客が少なく、静かな嵐山をゆっくり楽しめる季節です。

桂川のほとりでひと休み

夕暮れの桂川
屋形船が並ぶ夕暮れの桂川のほとり
写真: Basile Morin / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

渡月橋の上流と下流には、桂川にそって公園や遊歩道があります。川辺に座って山を眺めたり、ボートに乗ったりと、のんびりした時間をすごすことができます。

屋形船に乗って、川の上から嵐山の景色を楽しむこともできます。夕暮れどきの桂川は、山の色が少しずつ変わっていき、とてもロマンチックです。

嵐山で味わいたいグルメ

嵐山・嵯峨野には、京都らしいおいしいものがたくさんあります。

  • ① 湯豆腐:嵯峨野はお豆腐の名所。天龍寺のまわりには湯豆腐のお店が集まります
  • ② 精進料理:天龍寺直営の「篩月(しげつ)」では、禅寺の精進料理を味わえます
  • ③ 抹茶スイーツ:抹茶のソフトクリームやパフェは食べ歩きの定番
  • ④ 京つけもの:嵐山の商店街には、京都のおつけものを売るお店も多くあります
  • ⑤ 鯛茶漬けやおばんざい:京都の家庭料理を気軽に楽しめるお店もあります

嵐山のメインストリートは食べ歩きのお店でにぎわいますが、お寺や神社の境内では飲食を控えましょう。

アクセス:京都駅・大阪からの行き方

京都駅から(JR)JR嵯峨野線で「嵯峨嵐山駅」まで約15分、竹林の小径まで徒歩約10分
四条大宮から(嵐電)京福電車(嵐電)で「嵐山駅」まで約20分
大阪から(阪急)阪急京都線で桂駅乗りかえ、阪急嵐山線「嵐山駅」へ
バス市バス11・28・93系統で「嵐山天龍寺前」下車

嵐電「嵐山駅」は天龍寺のすぐ前、JR「嵯峨嵐山駅」はトロッコ嵯峨駅のとなりにあります。阪急「嵐山駅」は渡月橋の南側にあるので、渡月橋を渡って嵐山の中心へ向かいます。

観光シーズンは道路がとても混雑し、駐車場も満車になりやすいので、電車での移動がおすすめです。

モデルコース:嵐山・嵯峨野を1日で満喫

  • ① 朝早く、JR嵯峨嵐山駅に到着
  • ② 人の少ない朝の竹林の小径を散策
  • ③ 野宮神社にお参り
  • ④ 大河内山荘、常寂光寺など嵯峨野のお寺へ
  • ⑤ 天龍寺で曹源池庭園を拝観
  • ⑥ 湯豆腐や精進料理でランチ
  • ⑦ トロッコ列車で亀岡へ、保津川下りで嵐山へ戻る
  • ⑧ 夕方、渡月橋と桂川の景色を楽しむ

トロッコ列車と保津川下りをセットにすると、移動に3時間ほどかかります。時間が少ない場合は、竹林・天龍寺・渡月橋の3か所にしぼって半日でまわるのもよいでしょう。

観光のポイントと注意点

  • ① 竹林の小径は昼間とても混雑するので、早朝がおすすめ
  • ② 竹への落書き、竹林の中への立ち入りは絶対にしない
  • ③ 歩く距離が長いので、歩きやすい靴で
  • ④ トロッコ列車は運休日があるので、事前に運行日と座席を確認する
  • ⑤ 紅葉シーズンの週末はたいへん混雑するので、時間に余裕をもって
  • ⑥ 人力車や自転車も通る道なので、まわりに気をつけて歩く

よくある質問(Q&A)

竹林の小径は入場料がかかりますか?

竹林の小径は自由に散策でき、入場料はかかりません。天龍寺の庭園や大河内山荘などは、それぞれ拝観料・入園料が必要です。

竹林の小径に行くのにおすすめの時間は?

人が少ない早朝がおすすめです。昼間から夕方にかけては観光客でとても混み合います。

天龍寺の拝観料はいくらですか?

庭園は高校生以上500円、小中学生300円です。大方丈などの諸堂は300円追加、法堂の雲龍図は別に500円かかります。

嵯峨野トロッコ列車の料金は?

片道で大人880円、小児440円です。乗る区間にかかわらず同じ料金です。

京都駅から嵐山へはどう行けばいいですか?

JR嵯峨野線で「嵯峨嵐山駅」まで約15分です。竹林の小径までは駅から歩いて約10分です。

嵐山の紅葉の見ごろはいつですか?

例年11月の中ごろから下旬ごろです。天龍寺、常寂光寺、トロッコ列車の車窓などで紅葉を楽しめます。

まとめ:竹の音に耳をすませる嵐山の旅

竹林の小径を歩けば、竹の葉ずれの音と緑の光に包まれ、心がすっと落ち着いていきます。渡月橋の景色、天龍寺の庭園、嵯峨野の静かなお寺、トロッコ列車と川下り。嵐山・嵯峨野には、京都の自然と歴史を感じる楽しみがたくさんあります。

朝早くの竹林から、夕暮れの桂川まで。一日かけて、ゆっくりと嵐山の魅力を味わってください。

参考情報

※この記事の情報は執筆時点のものです。拝観時間、料金などは変わることがありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。

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